日本は昭和二〇年に敗戦した。 亡国の民はあわれなものである。 飢餓に道を彷徨う人々、ピカ・ドンで次々に死に行く人。 虚脱した若者。 そんな中から立ち上がろうとする孝夫や佳子や青年たち。 柿の大樹は彼らをじっと見つめ続けていた。